不妊治療と漢方薬

このページでは私たち夫婦の不妊治療の経過を順を追って簡単にご紹介します。これから不妊治療を受けようかどうしようか迷っている方や現在治療中で先の見えない不安を抱えている方、漢方薬と不妊治療とのかかわりに興味のある方はご覧下さい。今思えば当時は不妊治療に関する知識も乏しく回り道ばかりの経過です…。

長文ですが少しでも参考になればと思います。(内容は数年前のものです。)

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不妊治療を始めるきっかけ

私達が初めて不妊治療を受けようと思ったのは結婚してすでに7年目の事です。なぜそんなにたってから・・・?とお医者さんにも怪訝な顔をされましたが一言で言えば病院にいくのが怖かったから。

それまでは夫婦ともども体の丈夫な事が自慢でしかも家は漢方薬局。大抵の病気は漢方薬で治ったし、病院といえば歯医者に行くくらいのもの。婦人科どころか病院なんてそれまでかかった事もなかったのです。

また自分のイメージとして不妊治療にはホルモン剤の投与は避けられないし、その副作用への不安や高額な医療費等々、漢方薬を飲んでいるだけでも何とかなるんじゃないかと思い躊躇し続けていました。

実際私(妻)は昔から長年、生理痛に悩まされていたので漢方薬はずっと飲み続けていました。その甲斐あって生理痛や冷え性の悩みはそのころまでにはほぼ解消されていたのです。

それなのにいまだに一度も妊娠しないのは「何か漢方薬だけではままならない理由があるのでは・・・?」と思いだし、また30代半ばにさしかかろうとしている自分の年齢にも不安を感じ始めていたからです。そこで思い切って病院で検査してもらう事にしたのです。

不妊治療開始(2004年〜)

2〜3ヶ月ほど基礎体温を記録しそれを持って、自宅に近い名古屋の婦人科を訪れました。 といっても不妊治療の専門のクリニックではなく不妊の相談も受け付けているところでした。

そこでは私達の不妊期間の長い事もあり、タイミング指導などはあまりなく基礎体温表を見ても内診をしてもさほど異常がなく、 排卵もしているようだし体温も一応二相性ということで高温期に黄体ホルモンの飲み薬を処方されました。

また不妊の検査は夫婦揃って行う事が大事といわれ、精液検査もするように薦められました。

あれほど抵抗のあったホルモン剤でしたが、いざ服用してみると私の場合は何の副作用もなく普段より高温期が少し長く続くようになって生理痛がさらに軽くなったかな、といった好ましい効果がでただけで少しほっとしたのを覚えています。

その後の精液検査で精子の数が少ない乏精子症という事がわかり、一応原因のひとつが判明しました。そのことを知ったときとてもショックでしたが同時に原因がわかって少しほっとしたのも事実です。

またそのときの医師の言葉ではごく軽い口調で「精子が少ないといっても人工授精があるから大丈夫です。人工授精はさほど費用もかからないし、自然に近いし体の負担も少ないから。」といわれ原因がわかったからには妊娠は簡単ですよといわんばかりの口調でした。


それからそこのクリニックで人工授精を行う事になり、自然周期で4回ほどおこないましたが結果は期待通りにはいきません。医師に言われるままに続ける事もできましたが、「では次から飲み薬の排卵誘発剤も併用しましょう」と言われ、それでそんなに人工授精の効果が上がるのか疑問に感じ始めました。

またインターネットや本などで調べてみるとどうも私達の場合は人工授精では無理なのではないかとも思いはじめるようになったのです。ほかの病院のHPなどで調べてみると顕微授精の適応になってもおかしくないような精液検査の結果だったからです。

そのクリニックの医師はどちらかといえば体外受精には否定的な感じを持っているようでしたし、「人工授精を10回以上続けて成功した人もいる!」と続ける事をすすめられました。

しかしかわりばえのない不妊治療に時間を無駄に感じるようになりいくら費用がかからないといっても成功しなければ意味がないと考え、転院を決めました。この時点で体外受精に踏み切る決心も出来ていました。

体外受精開始(2004年〜2005年)

体外受精に踏み切る決心が出来たといっても、インターネットや図書館で調べた体外受精の情報を見ると毎日通院し排卵誘発の注射を打って卵巣が腫れてしまったとか、そういったことを見るとやはり不妊治療は怖いというイメージがいまだになくなりません。

またこの頃には体外受精をしたからといって誰もが簡単に妊娠できるわけでもないという事もわかってきました。また名古屋には病院もたくさんあり産婦人科と併設されているとこもあれば不妊専門のクリニックもあり、いったいどこに行けばいいのか、など迷う事ばかりでした。

インターネットで調べてみると自然周期を利用して内服薬のみの低刺激で排卵誘発を行っている名古屋市内の不妊専門のクリニックを見つけ、そこで治療を受けることにしました。

前のクリニックでの治療経過や精液検査などでやはり私達には顕微授精が適応との診断を受け、通院を始めて2ヵ月後の周期から体外受精を行うことになりました。

そこのクリニックで行った排卵誘発の方法としては生理の3日目からクロミフェン(セロフェン)を5日間服用し同時にクロミフェンで子宮内膜が薄くなる副作用を予防するためにプレマリンという卵胞ホルモン剤も採卵の前まで服用します。そして胚移植後は黄体ホルモン剤の服用と数回の黄体ホルモン補充の注射をして経過を見るという、いわゆる低刺激(自然周期)での排卵誘発方法でした。


初めての採卵前のエコー検査ではクロミフェンに対する卵巣の反応がよく卵胞も十分たくさん育っていて、医師も期待が出来そうだといった口ぶりでした。そして初めての採卵です。局所麻酔での採卵で痛みもなく4〜5個の卵胞が採れました。

ところが!医師の話を聞いて驚きました。せっかく採卵したものの「どの卵子も卵胞の中身に核がない変性卵や未成熟卵でこれでは顕微授精できない」というのです。通常は採卵数の2割程度は変性卵になってしまう確率だそうですが私の場合はすべてが変性卵で「こんな事はめったにない・・・」、と医師にも言われ本当にショックを受けました。

「何でそんな事になるのですか」と聞いても「卵胞は生まれつき持っているものだし、卵子の少ない体質なのかも」というようなことをいわれ、「生まれつきの体質ならばどうにもならないの・・・?」と思わず帰り道で泣いてしまいました。

とりあえず今回は初めてだし翌月もやってみたほうがよいといわれ、しばらく続けてみる事にしました。少しでもいい卵子が採れるようにと色々と考えながら補腎作用(ホルモンの働きを高める)のある漢方薬も服用し始めました。

自然周期を利用した排卵誘発は卵巣にかかる負担が少ないため毎月でも行えるというのが特徴です。そのため翌月も続けてやってみる事になりました。そのときには4つ採卵してそのうちやっぱり2個は変性卵でしたが、初めて2つの成熟卵が育ち無事授精しました。しかし受精卵の質はフラグメントも多くあまりよくなかったようです。

それでも漢方薬の効果なのか、ちゃんとした成熟卵が採卵できただけでも嬉しく、2つの分割胚をお腹に戻してもらいました。しかし結果は判定日を待たずに生理が始まり、やっぱりだめでした。

その後も時々休みながらも合計6回そこのクリニックで採卵、そのうち成熟卵の取れた4回は胚移植を行いましたが、やはり採卵する卵胞の数の割には変性卵が多かったり、全く成熟卵が取れなかったり1つだけだったり・・・、とあまり結果は芳しくありません。無事に受精卵が出来たときも胚の質はフラグメントが多くあまりよいものではなく結果もでません。


そうこうするうちにだんだん不安になってきたのは毎月の生理の状態がどんどん悪くなっていった事です。クロミフェンの副作用と思われますが、生理の出血がどんどん減ってきて普段は5日ほど続いていた生理が2日ほどで終わってしまうようになり、しかも最初から生理5日目のような出血だけで量もめっきり減りました。

こんな子宮内膜の状態ではいくら胚移植をしても着床するわけがないのではないか、と思うようになっていました。またいくら体に負担の少ない採卵方法といってもこんなに何回も続けていては体によくないのでは・・・、とも思い始めました。毎回同じことの繰り返しの治療に期待が持てなくなり疲れてきていたのかもしれません。

そこでしばらく不妊治療を休んで心身ともに体調をしっかり調え、ほかの排卵誘発の方法も取り入れている病院に再度転院することを決めました。

体外受精・その2・・・再度転院(2006年〜)

半年ほど治療を休み、その間漢方薬をしっかりと服用し生理の状態も少しずつ元に戻ってきました。気持ちの面ではやっぱり子どもはほしいという気持ちに変わりはないし、新しい病院でもう1度挑戦してみようという気になっていました。

もうこの頃には体外受精をするからといって自分は卵子の採れにくい体質のようだし、簡単にうまくいくわけではないという事はわかっていたので結構気楽な気持ちで新しい病院に夫婦揃って行きました。

この病院も名古屋では有名な不妊専門外来のある病院でしたが常勤の医師が複数おり、カウンセラーの方もみえて本格的だなあと思ったのが第一印象です。

私が以前の治療経過を話し「排卵誘発して採卵をしてもあまり卵子が採れない体質のようです」とカウンセラーの方に話しても「人それぞれにあう排卵誘発の方法を選べばきっと大丈夫です」といわれ、排卵誘発の方法も使用する薬剤も色々あるのだという事を知り、また一人ひとりに合う方法を探してくれるというのも安心感が沸きました。

その後ホルモンの検査などを経て自分に合った排卵誘発方法を選んでもらいました。HMG製剤の注射による排卵誘発です。私のホルモン検査の数値にも特に異常はなかったので、まずはそこの病院では第一選択となるロング法という方法での排卵誘発となりました。

(ロング法とは生理の数日前から排卵を抑制する点鼻薬を1日3回ずつ使います。そして生理の4〜5日目からHMG製剤の注射を毎日行います。HMGの注射は1度にたくさんの卵胞を育てるための排卵誘発剤です。そして数日おきに卵巣の状態を確認しながら採卵の日にちが決定されます。)

※この間も病院の治療と平行して夫婦揃っての補腎(ホルモンを調える)の漢方薬の服用は欠かしませんでした。また採卵時の出血の予防と卵巣過剰刺激症候群の予防をかねてクマザサエキスも服用しました。

転院後1度目の採卵・新鮮胚移植(2006年6月〜7月)

順調に卵胞は育っていましたが、採卵するまでは安心できません。以前のクロミフェンを使った排卵誘発での体外受精では卵胞は複数育っていても中身が空だったり変性卵だったりしたことが多かったからです。

エコーで見る限り10数個の卵胞が育っていて7月に採卵をしました。その結果、13個採卵できそのうち成熟卵が10個、変性卵が3個という私にとっては嬉しい結果でした。(排卵誘発の違いでこんなに結果が違うのか!ととても驚きました。)

成熟卵のうち9個が正常に受精し、そのうち6個が正常な受精卵という事でした。

3日後に”非常に良い”という評価の1番高いものと”普通”という評価の2つの分割胚を移植しました。
残りの余剰胚は培養を続けて胚盤胞まで培養してもらう事になりました。

妊娠の判定は2週間後です。今までにない状態のよい胚を移植もできてとても期待したのですが、結果は陰性でした。というよりも判定日の前にすでに生理様の出血が始まってしまい本当にがっかりしました。

医師の話では排卵誘発をした周期は一般的に黄体機能不全になりやすく、そのために黄体ホルモンの補充もするのですが私の場合は特に黄体機能不全が強く出たのでは・・・、ということでした。そのため「次回の凍結胚の移植や採卵のときはもっと黄体ホルモンをしっかりと補充して対応しましょう」との事でした。

余剰胚のうち2つが胚盤胞まで成長し、凍結保存することもできました。そのため気を取り直して次回に期待する事にしました。1周期お休みして再び9月に凍結融解胚移植を行うことになりました。

1度目の凍結融解胚移植(2006年8月〜9月)

凍結融解胚移植は前回の採卵でできた胚盤胞を融解して移植する方法です。

今回は初めてなので自然周期での胚移植をする事になりました。自然周期なので生理が始まってから十日後くらいに卵巣の様子をエコーで確認しながら、数日後に排卵検査薬で陽性になったのを確認した後、排卵日を0日目として5日目に融解胚を子宮に戻します。

このときの胚盤胞は”良い”という上から2番目の評価の胚で、子宮内膜の状態も上から2番目の”良い”という状態でした。

排卵誘発をして採卵する周期に比べれば体の負担は格段に少なく、移植後は黄体ホルモンの補充の注射には1日おきに通いその他の日は座薬での黄体ホルモンの補充という方法でした。

胚移植の12日後に判定でしたが、このときも残念ながら陰性でした。しかしながらこのときは判定日まで出血が起こるというようなことはありませんでした。

もう一つ凍結胚がありましたがこれはあまり状態がよい胚盤胞ではなかったらしく、融解時にだめになってしまい次周期での融解胚移植はキャンセルになりました。これで凍結胚もなくなってしまいがっかりしましたが、医師からもまだロング法で1度しか採卵してないし、もう1度前向きに次に挑戦してみましょうといわれ、気を取り直し再び採卵から始めることになりました。

2度目の採卵・新鮮胚移植(2006年10月〜11月)

前回の採卵時にロング法でかなり良好の卵胞が数多く出来たので、今回も同じロング法での排卵誘発をする事になりました。ただしHMG製剤は前回と違うメーカーのものを使うとの事でした。同じHMG製剤でもメーカーによって卵胞の発育の仕方が変わる事もあるから、との事でした。

今回は卵胞の育ち方にバラツキがあったため前回よりも長くHMGの誘発剤を使う事になりました。その分少し卵巣が腫れ気味になったようですが過剰刺激症候群というほどではなく不快な自覚症状もさほどありませんでした。

採卵の結果、14個採卵できました。そのうち成熟卵が11個で結果的に9個の正常な受精卵が出来ました。前回よりもさらに良い結果だったので嬉しかったです。

今回は初めからすべての受精卵を胚盤胞まで培養してもらう事にしました。そして3個が良好な胚盤胞に育ちました。この病院では胚盤胞の場合は1つしか移植しないと決まっているので1つの”非常に良い”という評価の胚を採卵の5日後に移植してもらいました。

前回の採卵後に黄体機能不全になった事もあり、しっかりと黄体補充もしてもらったのですが今回も移植後1週間してから少量ずつですが生理様の出血が始まりがっかりしました。

医師からは「妊娠している場合も出血することもあるから」と黄体ホルモンの補充は判定日まで一応続けましたが、結果はやはり陰性でした。

今回はとても状態の良い胚盤胞移植だし、子宮内膜の状態もとても良いといわれていて自分の中ではこれ以上ない今までで最高の条件だったのに、「なぜダメだったんだろう、35歳という年齢のせいなのかな」(←今思えばまだまだ若い年齢ですが…)と本当に落ち込みました。こればかりは病院でもどうしようもないらしく「何か今回移植した胚に見た目だけではわからない問題があったのでしょう」ということでした。

しかし今回移植した胚以外にも2つのとても良好な凍結胚盤胞が出来ていたので次の凍結融解胚移植はなんとしてもうまくいくようにと自分達でも何かもっとできることがないか色々と考えてみる事にしました。

鍼灸治療も取り入れる(2006年12月〜2月)

すでに漢方薬は色々と工夫して自分でもずっと飲んでいるし、血液の状態を良好に保とうとクマザサエキスと鉄剤の服用も欠かしません。もちろん食事や運動にも気をつけています。

以前はろくにいい状態の卵子が採れなかった私がこんなにいい状態で胚移植に臨めるようになったのも漢方薬などのおかげだと思います。少しずつ良い方向に向かっているのにあと一歩・・・、という感じでした。

それなのにこれ以上何をすれば・・・?と考えたとき思いついたのが鍼灸治療です。以前から興味はありましたが鍼灸に関する知識もありませんでしたがとにかくやってみよう!と思いなるべく家から近く、通いやすそうでしかも婦人病にも対応してくれるような鍼灸院を探しました。

実際に鍼灸院にうかがって話を聞いてみると、考え方は漢方治療ととても似ているし、一人ひとりの体質を考慮して治療を進めるということでした。ただ自分が考えていたのとは違ったのがいくら鍼灸治療とはいえ、効果を感じるためには最低でも3ヶ月は続けなければといわれたことです。(よく考えれば漢方治療でも同じことが言えるので当然ですが・・・。)


それまでは「病院の治療と平行して鍼灸に通おうかな」と考えていたのですが少なくとも3ヶ月は病院での治療は休んでじっくり体調を調えてから再び凍結融解胚移植を行おうと決めました。年齢の事も気になって治療を休むのは不安もありましたが焦っても仕方がないことなので鍼灸治療と漢方薬をコツコツ続ける事にしたのです。

その間は病院での治療中には休んでいたジョギングやマラソン大会に出たり体をしっかり動かして、もし妊娠したらできなくなるような事をしっかりやるようにしました。

鍼灸治療も目に見えて何かが変わっていくわけではありませんが週に2回の施術と自宅での毎日のお灸など自分の体と向き合うよい時期だったと思います。

2度目の凍結融解胚移植(2007年3月〜6月)

鍼灸治療に通いだしてから3ヶ月が過ぎ季節的にも暖かくなりそろそろ病院での治療も開始しようと思い始めたのは3月です。

前回の凍結融解胚移植では自然周期での胚移植でしたから、今回はホルモン補充で人工的に周期を調えての胚移植を希望しました。ホルモン補充周期では生理開始数日目からエストロゲンの貼り薬を使います。そして子宮内膜が十分な厚さになったのを確認した後、黄体ホルモンの補充の注射を始めます。

黄体ホルモンの補充を開始した日を排卵日と考えその日を0日目として5日目に胚盤胞の移植を行います。この場合通常の排卵は起こらないことがほとんどとの事でした。ただし、ホルモン補充周期での胚移植の場合はもし妊娠したあとも胎盤が完成する妊娠3ヶ月目くらいまでは毎日ホルモン補充(エストロゲンの貼り薬と黄体ホルモンの注射・座薬)が欠かせないのです。

ところが今回の3月は胚移植まであと3日というときに身内に急な不幸があり、黄体ホルモンの補充を続ける事ができなくなり当然移植もキャンセルすることになりました。

ホルモン補充周期の場合は人工的な周期なのでホルモン補充を中止してしまうと数日で生理様の出血が起こるのです。

もしこれが胚移植後や妊娠判明後などに急にホルモン補充を中止してしまうととたんに妊娠の継続が不可能になるということでもあるのです。ホルモン補充周期での胚移植にはそういうリスクもあるという事を考えさせられる出来事でもありました。

再度2度目の凍結胚移植・妊娠検査で初めての陽性

3月に急に凍結融解胚移植がキャンセルになり、その後も身近な身内を亡くしたことで精神的に落ち込みなどがあり、しばらくは通院する気も起きませんでしたが、徐々に元気になってきた5月下旬にまた凍結融解胚移植を行うことにしました。

3月と同様のホルモン補充周期での胚移植です。今回は何事もなく無事に移植する事ができました。子宮内膜の状態も非常に良く、融解した胚盤胞も”非常に良い”という評価でした。移植後はなるべく安静にして1日おきに通院し、黄体ホルモンの注射と座薬を続け12日後に判定でした。

このとき生まれて初めての陽性反応が出ました。本当に嬉しかったです。不妊の治療を始めてから4年目でした。前のクリニックでの治療も含めれば今回で(新鮮胚・凍結胚を含めて)8回目の胚移植でした。

しかしとたんに不安にもなりました。いくら尿検査で陽性反応が出ても10〜20パーセントに確率で流産する事もあり毎日心配の連続でした。ホルモン補充はずっと続けながら1週間後ににエコーで胎嚢が確認されて初めて臨床的に妊娠とみなされます。

さらに1週間後に心拍が確認され・・・、という調子で妊娠判明後も喜ぶよりも心配のほうが大きかったです。妊娠反応はもちろん嬉しい第一歩ですが、まだまだ赤ちゃんが無事に生まれてくるまでには気の遠くなるように長く感じられる時間でした。


その後は順調に経過し、翌年2008年2月に無事男の子を出産できました。

さらに2年半後に、なんと次はお医者様もびっくりの自然妊娠で2010年夏に女の子を出産しました。二人目の治療に向けて体をととのえている最中の妊娠でした。顕微授精でしか不可能と言われていたのに本当に不思議で、お医者様も「妊娠にはこういう医学的には説明できない不思議なこともあるんです」、と感心されました。

体調を調えるために気をつけたこと

一人目を妊娠するのは本当に私達にとっては大変な事でした。また自分の体であっても思うようにならないもどかしさも感じました。病院選びなど、もっと最初から知識を持って考えればよかったと思うことも多々あります。

体外受精と一言で言っても、病院それぞれの排卵誘発方法などでも結果は全く違ってくる事もあとから知りました。また漢方薬を色々工夫する事で、少しずつ体調や卵子、胚、子宮内膜の状態が改善されていく事も実感しました。

日々の食事の注意や運動、生活習慣などもいろいろと考え少しでも改善できるように努力したつもりです。治療を始めるようになってから自分で心がけた事をいくつかあげてみます。

  1. 運動を意識的にするようになった。 不妊治療を始める少し前からはジョギングを始めていたので週に2〜3度はジョギングやウォーキングをして体を積極的に動かすようにした。
  2. 毎日飲んでいたコーヒーも体を冷やすというのでだいぶ量を減らした
  3. お酒の量もずいぶん減らした
  4. 早寝・早起きをするようになった
  5. 腹巻を夏でも使うようになり、冬はおなかや足にお灸をしたり、特に下半身を温めることを心がけた
  6. 食事に気を使うようになった。たんぱく質や緑黄色野菜、根菜類をしっかり取る。生野菜を控えるなど

これが良かったのかどうかはわかりませんが、妊娠のためというより体のためにはどれも良い事です。病院ではこのような指導はありませんので自分で色々と工夫して生活習慣を改善していく事が大切です。

不妊の原因は人それぞれですし、治療法も考え方もさまざまです。「これがいい!これだけで妊娠できる!」という確立された方法は何もありません。究極の不妊治療といわれている体外受精にしても誰もがそれで簡単に妊娠できるわけでもありません。また病院選びなども迷う事ばかりです。

ただ治療を受ける自分の体を調えることは自分にしかできない事ですし、不妊治療を進めるうえでとても重要な事です。いかに高度な治療を受けても体がその効果をきちんとだせる状態でなければなりません。

不妊治療のお休み中不妊治療の副作用を軽減したい、不妊治療の効果をより高めたい、年齢が気になるという方には漢方薬もぜひ取り入れていただくとよいかと思います。 またこれから不妊治療を受けようという方、治療はしているけれど色々迷っている方にも自分達の経験もふまえてお話出来れば…、と思っています。

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